2005年6月14日火曜日

秘すれば花−東アジアの現代美術−@森美術館 2005/06/14

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 2週間前ほど前にみた展覧会のことを。

 もう、森美術館に行くのは4回目となります。2年で4回ですからかなりなリピーターということか。

 今回は東アジアの現代美術ということで当初はそれほど期待してませんでした。また水墨画でも見せられるのかとその程度だったのですが、行った人の感想がどれも思ったより良かったという感想で、それなら行っておくべきでしょうと重い腰をあげていってきました。(2年で4回は軽すぎでしょうともいわれそうですが)

 結論からいいますととっても良かったです。図録を買いましたので図録をもとに復習してみます。とはいえ、興味を持った作家さんをもう少し詳しく知ることは出来るというか、この図録あまり展覧会の写真が載っていません。というか皆無です。これも「秘すれば花」なんでしょうか。

 図録はマイケルリンという今回の展覧会にも艶やかな花柄の家具を提供していた作家さんの「pillow #7」の柄が装填に使われています。とはいえ、普通に使われているのではなく印刷面を裏にして柄を裏映りさせているわけで穏やかな具合に仕上がっています。穏やかな主張って東アジアっぽいですね。

 森美術館の特徴なのでしょうか、会場に入ってまず最初に展示される作品は、いつもこの展覧会の性格を示唆するようなものの気がします。
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 小林俊哉の「霧の中の風景」という作品は水墨画?と思わせる写真作品。その写真は、まるで墨で書かれたような霧に包まれた森なのだがそこに森があるのかどうかも包むような濃い霧で水墨画だと思い込んでいる間は、この人は何を示唆して隠しているんだろうと考えてしまう。それが写真と気づくとこんな現実があるのかと驚嘆すると同時に、この霧の中に何が隠れていたのだろうか考えてしまう。実は何もないのかもしれない。でも想像を掻き立てられて脳内で楽しんでしまっている自分がいる。まさしく秘すれば花だ。
その隣に並ぶのがユ・スンホの水墨画もどきの山水の作品。一見伝統的な感じを感じさせるが、正面にシュ・ビンの鳥の作品があり反対側にウ・チチョンの雨の作品やファン・インキの「雨上がりの仁王山」という黒いシリコンのドットと人口クリスタルがキラキラと輝く山水画が普通ではない感じを漂わせる。
 そういった雰囲気のなかでユ・スンホの作品を見ると全てが小さなシューとかdadaとかのハングルで書かれていたことに気が付く。一瞬DELAWARE(http://www.delaware.gr.jp/)が関わっているのだろうかと思ったけど、結局世界同時進行なんだろうねと思う。
 ウ・チチョンの雨の作品は20センチ四方のキャンバスのような画面に霧の街のような風景が映し出されていて、時折画面に雨粒が付く。DVD作品で伝統的なものを描いている感じ。
 ファン・インキの「雨上がりの仁王山」という作品は黒いシリコンのドットと人口クリスタルがキラキラと輝く山水画。ドットで山水画を描くあたり変わってきているんだなーと思わせるし写真ではわかりにくいが人口クリスタルが輝く感じはかなり現代的。
 そして中央にシュ・ビンの鳥の作品があって、これがすごくいい!!
足元に透明のコップでイメージした湖があって、文字の鳥が羽ばたくようにいくつも吊るされている。湖の近くが中国の漢字の簡体字の鳥、中央は日本で使っている漢字の鳥、空に近づくにつれて篆書、甲骨文字と鳥の形に近づいている感じ。実はコップの湖はシュ・ビンの作品ではなくってソン・ジョンウンの作品だとあとで分かったのだけどとてもよくあっている。
 これが中国人だと簡体字から見上げていくのだろうけど、日本人の目から見れば日本の漢字である繁体字がまず目が行って、湖に近づいて簡体字に簡素化される方向に進むべきなのが、空へ向かって象形文字へと向かうのか一瞬悩んでしまう。象形文字と簡体字もどちらもシンプルなものに見えて、進化と退化って一緒じゃないのかと思ったりする。
 いずれにしろとってもきれいな作品である。
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 その後ろはクォン・キースーの作品が、伝統的な山水画に現れる漫画のキャラクター。伝統の中に現れる現代かな。現代を元に過去を見るということかな。古いものの中に新しいもの、東洋のものの中に西洋のもの、西洋のものの中に東洋のもの、隠し味のように現れる感じは秘すれば花だったのだろうね。
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 その横には、丸山直文のアクリル絵具で書かれたpath2という4月くらいの水の蓄えられた田んぼを耕す絵画は、水彩の水墨画のよう穏やかな空気が漂ってすごく心地よい。
 

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