2005年6月15日水曜日

秘すれば花−東アジアの現代美術−@森美術館 2005/06/14

71564_2965773896
71564_2965773896
 森美術館の見た「秘すれば花」の記憶の続き。
 図録を見ながら思い出しています。図録はいつも買うわけではないのですが(重いので)、記憶が消えると探すのがたいへんだから。
秘すれば花という森美術館で開かれた展覧会は、基本的に二つの部屋で構成されていて、奥の部屋はちょっとしたエッセンスがあふれる部屋でした。
e5a32e2f
e5a32e2f
 部屋に入ると、波板や廃材?で作った携行折畳式喫茶室(ポータブル茶室)が置かれていて、いきなり伝統パンク。中に座るのではなく腰掛けるみたい。その周りにいろいろな大和絵が置かれている。山口晃の作品だそうです。東京の俯瞰図とか六本木ヒルズの大和絵があって、ぱっと見たときは伝統的な技法で六本木ヒルズを見ているのかと思っていたけど、改めてみると、空調とかビルの窓とか特徴的な部分は写実してるのだけどその他の部分ではフィクションが多いのね。明治の頃のような建築や寺院作りの入り口やら、電車は路面電車で。かといって六本木ヒルズの地下の部分は詳細に書かれてるんだよね。そこら辺がだましていて見ていて面白い。

 で、その前に山口晃とはまったく関係がなく一つの部屋が。リン・シュウミンの作品で床に白いマットが敷かれていて日本人の子供がねっころがって、手と足を空中に泳がしてきゃあきゃあ言っている。上を見ると頭上に机や棚や椅子があって。それだけなら誰かがやってそうなのだけど、その上で光がゆらゆら揺れる。金魚とすこしすると気づくのだけど火の玉のような感じで、おそらく手足を伸ばせば重力がなくなった感じなのかな。で、部屋から出て次の展示を見ようとすると液晶ディスプレーが置かれていて家具が写っていて何かが動いている。すぐにそれが金魚と中の部屋の子供と気づく。そのとき初めて自分が金魚の水槽の中にいたことに気づく。
 その反対側にはマイケルリンさんの家具が置かれている。森美術館でのマイケルリンさんのソファーはリュウ・ジンファの草間弥生の作品のような白磁で出来た帽子やかなづちや靴やあらゆる生活品が白い壁の前に置かれてておしゃれ。でもリュウ・ジンファの作品を見てると強迫感がただよう。生活観あるものを1色で塗り固めるのは異様ですよね。
 その斜め後ろに3枚の掛け軸が。漢語の言葉と山水画が描かれているが、動いている。動いているというか山水画の山は魚の頭で作られている。箸でつままれている。宋冬さんの「食べる山水画」というビデオインスタレーションだそうで。
 素敵な発想を持つ人が中国にもいるようで、これ大好きだった。
 掛け軸の横には畳とテーブル(ちゃぶ台)が。何のことかよく分からなかったのだけど、あとで読み直してみると、このリー・ミンウェイのダイニングプロジェクトって「観客の中から食事に招待する人を決め、食事に招待された人の希望にしたがって作者自らが料理したあと、展示会場に置かれた自分の空間で食事するもの」だったんだって。緩やかなフルクサスというか攻撃性のないハイレッドセンターだ。
 畳と一つの空間のようにその横には乳白色のクローゼットと寝室が置かれている。ジャンウンボクという人の作品だけど、洗練された東アジアの女性的な儒教的な生活空間が素敵だった。作品というよりは生活空間を見せてる感じ。センスがいいなあとおもわせていた。
 その横にあったのかなあ。伊庭靖子の白い寝具が描かれた油彩がどこかにあったようなのだけど、気づかなかった。寝具があるならあそこしか考えられないのだけど、あまりに瑞々しさがジャンウンボクの寝具と合いすぎていたんだろうか。
 反対側には釣り目の女の子の絵があって、その両脇に二つの木で作られたミニチュアの白い小屋がある。釣り目の女の子もこの2・3年で変わってきたような気がする。大人になったというか。
 小屋を覗くと「glaf」で見た覚えがある奈良さんの仕事場が。あの時は等身大の仕事場だけど今度はミニチュアの仕事場。もう一つの小屋もどこかで見たきがする。あーこの空間だ。と気づく。
 その横にトイレと洗面所が置かれている。子供が並んでいる。なんだろうと並んでいると虫眼鏡を渡される。人が並んでいるからどこを見ればいいのか分かるけど人が並んでいなければ分からない。ハムジンという人の作品は1cmほどの小人のフィギィアで愛嬌のある表情で蠅の上に載ったり、歯ブラシの上にいたり、かくれんぼをしていたり。
 とここまで、秘すれば花の会場を全部見てきたことになるが出口で、須田悦弘さんのワークショップで一般参加者が作った草花が展示していた。須田さんには遠く及ばない草花だけど草花の意思は持っていた。
 で、須田さんの作品を今回も見落としそうになった。もう一度会場を見直して。あった。リン・シュウミンの作品の横、人が寄らないような白い細い空間の奥に木蓮が一輪指してあった。

0 件のコメント:

コメントを投稿