2006年11月20日月曜日

「UNRESERVED A MUSIC」旅団・勝井祐二・藤原大輔・辻コースケ/rhythm

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イベントは、辻コースケのソロ、藤原大輔のユニットのライブ、藤原大輔のユニットと辻コースケのセッション、藤原大輔のユニットと辻コースケに勝井祐二と旅団のメンバーが加わってのスペシャルセッション、15分休憩を挟んで、勝井さんとバイオリンの女の人とのデュオ。そして最後が全員入っての旅団のライブという流れ。
 8時半ごろから始まって12時まで結構長くやってたね。
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 旅団は始めて聞いたけど、やはり勝井祐二や芳垣安洋さんとかに影響を受けた世代だから音の作りはそれっぽい部分が多々ある。ジャンベとかコンガとかの打楽器中心の音の作りだからVINCENT ATMICSとかに近いかな。
 打楽器中心の音の中にviolinの旋律やサックスのフレーズを織り込んで展開していく感じ。
 勝井さんはというと旅団のライブの中に入ってここはこの音を入れてみようかと即興で対応しているような雰囲気。基本的に旅団のメンバーは旅団の流れを崩そうとしない感じだけど、そこに勝井さんの音が入ると途端に勝井色が出るのが面白い。
 ヴァイオリンデュオの時はどちらかというと旋律を併せる感じだったけど(当然エフェクターとかは多用してたけど)、旅団のときは場面場面に合わせて色々手数を出してみる感じ。
 旅団は音もしっかりしてるし予備知識なしでも十分楽しめる。で、これからどうなっていくのかという面で面白いなあとおもう。いわゆる勝井・芳垣フォロアーがどう違う部分を見せてくれるのか、そこらへん楽しみでもあるかな。

2006年11月15日水曜日

GARDENS ガーデンズ-小さな秘密の庭へ-


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庭は、木々のざわめきや水のせせらぎ、訪れる鳥の声に耳を傾け、花の香りを嗅ぎ、枝から果物をもぎ取って味わう、五感すべてで感じることのできる空間です。そこは、ときに私たちを至福へと導く聖域と なり、ときに精神を研ぎ澄ます瞑想的な場となります。そうした空間に身を置くことで、私たちは穏やかに自らと向き合うことができるのです。
人工物に囲まれた現代の生活の中で、私たちはいかにしてそうした庭を身近に引き寄せることができるでしょう。いま人工物と自然は、互いに反発し合うのではなく、次第に寄り添い、結び付きながら、新たな庭を作り出す可能性をささやいています。
レースをまとった観葉植物、隙間に出現した小さな庭、お菓子でできた島、ふわりと膨らんだ大きな房、真っ白な迷宮--一つの庭からまた別の庭へと巡るように、それぞれの作家たちの庭を味わってみてください。いつも庭とともにあるための、いくつかのヒントをみつけることができるでしょう。




 豊田市美術館の入り口のエントランスには水色とピンクのチェックのビニールバックが20個ほど。チェックのビニールバックからは雑草が。無機的な豊田市美術館のエントランスに温かみのあるチェックのビニールバックそこから生える雑草。曇りの豊田市美術館は空の色と建物の色が染まってて大きな壁があるかのよう。そしてその前に温かみのあるバックがおかれている。
ロイス&フランツィスカ・ヴァインベルガーという二人組みの作品だそうで、展示の中では彼らの活動のアーカイヴを見ることが出来、多様なフィールドで多様な作品を見ることが出来る。
 テーマは多様な庭だそうだ。


 エントランスに入ると、フロントという女性4名のデザインユニットの「フラワーウォールペーパー」が視界にうわっと入ってくる。タイトルの通り壁紙を生花で飾った作品だけど、遠目で壁紙としてみてみたり、横から立体に見てみたり、近くから花を覗き込んでみたりしてみる。花の一つ一つもよく選ばれている。
 会場に入るとどこからともなく甘いにおいがする。あれはどこからの匂いだったんだろう。今もって不思議。レグラ・デットヴィラーと言う人の作品である丸みを帯びた葉に黒いレースの施された観葉植物が目に入る。そしてその周りにはその観葉植物を元に書かれた植物画が並ぶ。観葉植物の深い緑色と黒いレースがよく似合う。マリーアントワネット的?観葉とは自己主張であるということなのかな。
 フロントとレグラ・デットヴィラーの作品は「人工の庭」というテーマだそうだ。


 レグラ・デットヴィラーの作品の向かいにはコンクリートの庭石の周りに枯れた松葉が撒かれた鈴木昭男の作品「みたて/須弥への韻律」と言う作品がある。近くのコンクリートは台形で奥へ行くほど四角錐へと近づいていく。奥の三角の山を眺めれば聞こえない松葉の海のざわめきの向こうから聞こえない音が聞こえてくると言う「みたて」というテーマどおりの作品。

 ガラスの向こう側には白い陶器で作ったヨーロッパのファンタジーのような真っ白な泉や森や枯れた巨大な木のような塔が見える。その周りには真っ白な砂が敷かれてヨーロッパ的な箱庭といったところか。
小粥丈晴というひとの「泉」という作品だそうである。真っ白い泉に水滴が落ちて波紋となる瞬間を眺める瞬間を楽しむというものか。非常に日本的だ。
 で、鈴木昭男と小粥丈晴の作品は当然のごとく「見立ての庭」というテーマである。




 照屋勇賢の作品は非常に繊細だった。「プルートの家系図」という球体のお菓子で作られた天体と紙袋を内側に切り抜いて作られたこれも繊細な「Notice-Forest 告知-森」という作品が置かれている。これ良かったなあ。ガラスの保冷庫に置かれた天動説をテーマにしたお菓子の天体は幾層ものキレイなクリームやスポンジで地層が作られてその地層の上にファンタジーのような世界がある。他にもお菓子で作られた惑星のネックレスとか職人の技を見せられたかんじ。「Notice-Forest 告知-森」もすごくって紙袋を内側から覗くと木が生えていて、それはその空間の天井、すなわち紙袋の上部を紙きりで切り抜いて作られている。その切り方がすごくってまさしく森といってもいいくらいの細かい切り方。今回の作品は秋をイメージしてかパンを入れるような黄色い印字がされた茶色い紙袋を切り抜いて作られているので紅葉という感じが良く出てる。
http://www.asahi-artfes.net/program/b.html

 その隣の栗林隆の作品は照屋勇賢のフロアの隙間の壁の間に作られている。アザラシやペンギンなどが壁や床を覗きこむ先に別世界が広がっているというもので、そのテーマというより隙間に作られた庭のキレイさに惚れた。栗林隆の作品は狭い空間の中に水や鏡面を使って左右対称の空間を作っていて、存在しない場所にあることがよりキレイに感じさせる。
 「小さな庭」というテーマだそうである。


 次の高木正勝とエルネスト・ネトの作品は包み込む庭というテーマだそうで、高木正勝の作品は靴を抜いでクッションにもたれながら流れるような光り輝く少女の水彩画の動画の動きを見ているとこのまま寝てしまいそうになる。エルネストネトの作品は柔らかい布で包まれた空間に、柔らかな光があるれるもの。丸山直文の絵のような空間だ。子供のための空間という感じの世界。

 その隣には「未来の庭」というテーマでジャック・ヴィエイユというひとの「ガール・オブ・ランド」という作品が並ぶ。それは、展示スペース内にイチゴの水耕栽培の庭が出来ている。「ガール・オブ・ランド」というタイトルの由来は、そのイチゴの品種「とちおとめ」からきていて名前にテーマとの関連性は無い。会場内に整列する土色の焼き物に並ぶイチゴの葉の緑、それと無機質に並ぶ配電管の具合が一見無機質な未来を思わせるが、見方をかえればこういった場所にも生命を育もうという姿勢が新たな自然との対処とも思える。こういった場所で咲くイチゴの花に一層惹かれるのはそれが未来の庭だからだろうか。
 
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 他にも常設作品でも今回の特別展にちなんだ作品を見ることが出来る。
特に「感覚の庭」というテーマで設置された所蔵作品である小谷元彦lの「9th Room」は面白い。ミラーを使用した立方体の内側へ映像を投影することにより、果てしなく続く映像を出現させ、作者曰く“ダンテ「神曲」の地獄の最下層である9番目の部屋、また京都の養源院の血天井からもインスピレーションを得ている”という映像が醸し出す仮想空間で、流れる映像にいちまでも落ちていくような錯覚に陥る。落ちていく感覚、他人の瞑想の中に迷い込んだような感覚はいつまでも痛くなってくる。また、上を眺めると下を除く他人と目が合いより自分がどこにいるのか分からなくなるおかしな感覚に陥る。


 他にも常設展では丸山直文の絵画や小清水漸の《マドンナの製図台》と《作業台―木の帆》という作品などGADENSを思わせる展示が並び非常に楽しい。


他にも館外にもフロントの作品が並ぶ。こちらは芝生に生けられた生け花のよう。

久しぶりに面白い展覧会。見ていない方は是非にと思う。会場では図録を買う。非常に素敵な作品展だし、アーティストのこともよく知らない人ばかりだったから。図録は会場の様子を取り入れるため現在作成中だそうだ。こんなところも豊田市美術館の温かみを感じる。こういうところが作る企画展はだから信頼できる。。