2011年3月1日火曜日

2011/01/09 music of YannTomita at noon ,babeefank at Nuooh


開演15分前から会場に音楽が、初期のヒップホップナンバーと思われるものから、ミュージックコンクレート作品みたいなもの。SURF REPORTS,TEST RECORDS,PART1とか結構レアな音源が流れて、午後の7時にスクリーンにMusic For Living Sound の動画に映っていたようなAudioScienceLABORATORYのアーカイブ動画(ヤンさんのマンションから見た羽田空港の夕景や世界の空港のラウンジのスライド)がラウンジ風の音楽と共に流れて、音楽もラウンジからJAZZ、ロックへと展開しコンサートがスタート。

 1曲目が宇宙飛行士・ナンバーαに於けるバイオフィードバック・データの解析

この曲は「頭に電極をつけてハードディスクに取り込んでコンピュータで音楽を奏でる。
もともと医学の分野で研究されていたもので20世紀の初頭に脳波でピアノを奏でられると言う研究があって。人体って筋肉には電気が流れている。この微弱な電波を取り込んで音楽としている。」というもの。

 「旅に出るというか、遠い宇宙にいくというか、内的宇宙というか、今日は非常に遠くに行きます。脳内トリップというかトリップミュージックと言う分野。
難しく考えると、とっても深くなっちゃうけどディズニーランドのアトラクションと思えばいい。」というもので、

  そして、この曲がとても長い。行ってくるのに約45分。
より深いところに行って帰ってくるまで約45分。長いとは思ったけどこんなに長いとは思わなかった。ノイズと言う音かもしれないけども何かしらここち良さがある。
サージモジュールシンセの音が良いのです。

 「無茶苦茶ファンキーなベース音だけど。偶然性のあるモジュールに必然性のある偶然を呼び込む形で制御すると言う感じで奏でている。同じフレーズが二度と出てこない。デジアナのシステム。デジタルの概念で作ってもこんなものはできない。
コンピュータの概念で言うとこういう音にはならない。こういう音は作れない。アナログと言うものは完成したものだけど、デジタルは未完成のもの。
デジタルで作っても3年くらいするともっと便利なものが出てくるし。
デジタルはただ便利なものだけであって音楽の表現でやるとすぐつまらなくなる。
道具としてはなるけど楽器にはならない。
きれいに音がするときもあって、鳴ってくれない時もあるのが楽器で。
音楽家はそれを奏でることによって醍醐味を見出すと言うが、デジタルはいつもおんなじ音になる。デジタルは温もりというかそういうはない。ただ、すごく便利なものであって僕も今それを使ってこうやって奏でてる。」

 この長い音楽を聞いていられるのもアナログの揺らぐ音だからこそ、楽器を奏でる音として聞いていられるのだろう。

 ただ、突き詰めるととても複雑で難解な音を聞いた後にスティールパンの独奏を聞くとこれはまたたまらない。
 2曲目はヤンさんの独奏によるスティールパンの演奏。パノラマスティールオーケストラとか大人数でバーンと奏でる演奏も良いけども、一人でのなめらかなシンプルな演奏もたまらない。

 美しいとっても美しい音楽のあとは、バイオフィードバックを用いた心拍での演奏をする予定だった見たいだけれども押し気味だったのでプログラミングだけして予定変更。
モジュラーシンセとかを使ったムーンライトからフォーバーヤンへの展開。いとうせいこうさんが海外に行っていると言うことでロボ宙さんがラップ。
 ただ、ムーンライトにしろフォーエバーヤンにしろLove Songsにしろアルバムの音そのものではなく、より複雑で長く凝ったものとなっている。
 ここまでで第1部終了ということで。すでに時間は午後の10時。

 第2部から、ヤンさんが登場しモジュールを操作してLove Songsの音をベースにした演奏が続く。電子音の水滴。電子音の涙がながれるという表現が電子音を暖かくとらえている感じでいい。「電気をたどって行くと、コンセントにつながっていて、それが電線をたどって行くと山奥の水力発電にたどり着く。そうやってつながっていると思っていて。
僕は音楽家としてそういうことを信じている。」
 そしてDOOPEESこと大野由美子さんとスージーキムが登場。ライブでの声はアルバムのように出るのかと思っていたけど、まさしくアルバムの声。あまりに素敵な声にテープで録音して編集して流していないんだろうかと思ったりしましたが、途中で大野さんが歌詞を間違えたか何か笑ったのがマイクで拾われて、間違えたけれども見てる側は生音が確認できてとてもうれしい。

 そして、ヤンさんはギターに持ち替えて「だいじょーぶ」を演奏。それともう一曲。「だいじょーぶ」のギターを録音した音とシンセとスティールパンをでの演奏とDOOPEESのコーラスとの演奏。いろんな音が絡み合ってきれいな音楽を演奏していると言うのはこういうことを言うんだろう。

 とても素敵な音楽とても素敵な時間でした。

 さて、ライブを終えた後、同じ日にヌオーでbabeefankさんがDJをしているということでこちらも行ってきました。

 どうもその日のイベントはbabeefankさんもほとんど初めてお会いするDJさんばかりらしく、ヌオーの店長が面白いと思う人ばかりを集めたそうで、何でもありみたいな展開だったらしくラテンから、ランバダから襟裳岬、なごり雪、スバルと何でも流れていて濃かったです。
 babeefankさんのDJはこういう日だから好きな曲かけるわと言っていた通り、ものすごくいい流れ。USTで聞くのも仕事のお供に最適だけれども、フロアでアナログでかける音はまた良いわ。ほとんど初めて聞く曲だけれどもそれがまた新鮮で最高。organicschool01みたいな展開でほんと楽しかったです。
 こうやって、ヤンさんにしろbabeefankさんにしろ生で音を聞くとやっぱりライブは良いなあと思う。USTやPCDJは便利だし大変役に立ってるけれども、ヤンさんの「デジタルは未完成であってアナログは完成されていて、音楽の表現として使うとすぐつまらなくなる。きれいに音がするときもあって、鳴ってくれない時もあるのが楽器で。」と言う言葉をおもいだして、アナログレコードでDJがその場でミキサーとかエフェクターを使ってかけているのを箱で大音量で聞くのは良いなあと思ったりした。