2007年12月25日火曜日

見えないものと見えるもの

 



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664647122_223.jpg 愛知県美術館で河口龍夫展を見る。
会場に入ると10mくらいの円柱状に撒かれた向日葵の種が目に付く。その横には立ち枯れの向日葵。そして周囲には鉛の板が壁一面に長方形に敷き詰められていて、モノトーンの世界が広がっている。

 蜜蝋の作品もあったせいかそれらを見た時、豊田市美術館で見たヴォルフガング・ライプ展を思い出した。
ライプの作品が死から生命への連鎖というなら、モノトーンのライプというか、河口龍夫の作品は生命から死への連鎖というイメージをパッと見た時は思った。
 立ち枯れたライプかと思ったら2階の「石になった生命」や「花の遺伝」などの絵画の作品はパステル調の明るい作品で意外。花の遺伝は中央に花の種子が埋め込まれた絵画でその種子の花の色で構成されている。石になった生命は化石の作品だけど生命のあった頃の様なカラーで書かれている。生命から死というイメージを1階では持ったけど2階では逆を思う。

 2階では向日葵の種が置かれていて自由に1階の作品へ撒くことが出来る。音を聞いたり、種が円柱状に広がる様をみて楽しむ。円柱状の真ん中に四角い銅版のオブジェが埋もれていて何だろうと思っていたのだけれども、インスタレーションの模様を撮ったVTRがあって、それがピアノだと気づく。なるほどこれは現代音楽なんだとその時気づく。


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夜はtokuzoへ。
金澤美也子(p) and 小野良子(as) とRYORCHESTRAが目的
6時ちょっとすぎに行ったら早かったのかまだ誰もいない。中から「スガキヤ行こう」の声が。たぶん東京から来た金澤美也子さんか誰かかなと思い、今から食事だったらまだまだだなと思い今池をぶらぶらと暇つぶし。

RYORCHESTRAは1曲目から3曲いっぺんにやってみましたという感じで、プログレっぽくもあり、インプロっぽくもあり、OOIOOのようなharpyのような変拍子ループボイスがあったり、激しくソロが続いたりとよく分からない。しっかりとした演奏での変な音楽を楽しむ。

ひゃくたたきはドラムとエフェクターを使ったソロ。エフェクターを使ったかなりキツイめのノイズを畳み掛けてつぶすかのようなドラムソロが被さる。ドラムセットのシンバルにピックアップマイクが付けられてエフェクターで変形して音が出る仕組み。気づいたことは、ノイズは単体だとかなり聞き苦しいけど他の音と被さればそれなりに聴けるということ。


そして、金澤美也子(p) と小野良子(as)のデュオ。 金澤美也子という人は面白い人だ。キレイな顔立ちで変な音楽を奏でる。囁く。絶叫する。鍵盤を手が面白いように動く。即興なのか。でも譜面があるし。激しく鍵盤を手が動いてもまだ余裕がありそう。
あれだけ激しく手が動くと見ていて面白くなる。


ちなみにこちらを撮っていた途中で電池切れ。
本当に面白かったのはこの後のアンコール。アンコールを予定してなかったらしく、二人で合わした曲は全てやったそうで、せっかくなんで何かお題を下さいということに。
「ABBA」
「あば!?あば~!?あばってダンシングクイーンのABBA?」
「そう」
「え~~~」「You can dance, you can jive」とフレーズを口ずさんでピアノで叩いてみたり「エービーエービー」?と叩いてみたりするが「無理無理」(笑)
「他に何かない?」の言葉に「じゃあルインズ」(笑)
絶対ここしか出てこないお題だ。
「ルインズってなにやるのクラシックメドレー?」
「あークラシックメドレーいいね」
「やっぱり無理無理」
「お題を下さいというわりには」と言われて、「あーそうだよね。ABBAやろABBA。練習やったじゃんABBA。ワンツーさんはい」
「%&#$|♪*$&#%$π√」勢いと畳み掛けるような演奏でYou can dance, you can jiveの鼻歌も混じりの不協和音。でそこからお互いの感じをつかみつつ「あばあばあばあば」と言うフレーズに落ち着きそこにサックスがかぶさって完全即興演奏。何でもやったもん勝ちやね。
即興はその奥にあるものが面白いんだよね。

2007年12月14日金曜日

アンビエント・ドライヴァー

エクサン・プロヴァンスでの昼食中、この前買った細野治臣のアンビエント・ドライヴァーを読む。まだまだ最初の方だけだけど、読みやすい本だけど時折ハッというようなというより、そうそううんうんとうなずく言葉が書かれている。そうそう、音楽に対して同じこと考えていたよという感じ。



レビュー






アンビエント・ドライヴァー THE AMBIENT DRIVER


4.50点(48人)


2005
マーブルトロン
細野 晴臣


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「それまで現代音楽といえば意識的なアートだったのに対し、アンヴィエントはポップスだといったら分かりにくいだろうか。だが、なんとなく聞くというよりは、「こりゃ、すげえや」「新しいや」などと興奮して聞いていたのだから、やはりこれはポップスなのだ」


「モンド・ミュージックとは、アメリカの雑誌『リ・サーチ』の連中が単なる趣味で集めていた、ヘンテコリンな音楽群のつづり方だ」


「モンドというのは結局のところ実体のないものだから、突きつめないほうが楽しめる」


「音楽に限らず、芸術とは鑑賞するよりは体験するものではないだろうか」


「モンドが「聴き方」の態度だとすれば、アンビエントは、「作り方」の態度ともいえる。」


「ここ数年、僕は「静けさ」に心惹かれている」


「アンビエントは物語のない、何も起こらない音楽だから、刺激を求める人には退屈に聞こえるかもしれない。だが、そんなメロディも歌詞もない音だけの響きを聴いて、従来のポップスのように楽しむ若い人たちがいることもまた事実だ。」


「ただ一ついえるのは、自分一人で作り、自分一人で聞く作業から生まれたひそやかな音楽ではあるが、それを人に聞いてもらうのも僕にとっては楽しみの一つということだ。」


ところで本とは関係ないけど、このイベントが面白そうだなあと。

2007.12.23(日) at名古屋今池得三
名古屋市千種区今池1-6-8 ブルースタービル2F  052-733-3709
http://www.tokuzo.com/
OPEN/18;00 START/19;00
adv/2000yen door/2300yen
電話一本で簡単に予約できます!!052-733-3709

●金澤美也子(p) and 小野良子(as)
ジャズ・ピアニストの山下洋輔氏も「ものすごい音楽だっ!!!」と大絶賛させた超絶変態バンド「る*しろう」を中心に活動し、あるときは吉田達也氏のバンド「高円寺百景」にも楽曲提供しメンバーとしても活動。そのほかに小室哲哉氏のバックコーラス、女優業、ゲーム音楽作曲など国内外で活躍美人変態ピアニスト、「金澤美也子(p)」が今池得三に登場。名古屋で活動中のサックス奏者小野良子(as)とデュオをします。
http://www7.ocn.ne.jp/~tolsilo/contents/MKprof.html
http://www.myspace.com/onoryoko

●the ひゃくたたき
ドラム、マイク、エレクトロニクスなどを使用し、音圧音塊を「叩き」だす独演暴虐グラインド・グループ。
http://www.myspace.com/thehyakutatakix

●RYORCHESTRA
女性2人の絶叫とささやき系ボーカルにうっとり。個性的なメンバーが演奏するのはロックのようなジャズのようなインプロっぽいような、クラシックの感じもある摩訶不思議音楽。それぞれのメンバーは藤井郷子オーケストラ、渋さ知らズ、ett、next orderのバンドなどで国内外でも活動中。
http://homepage3.nifty.com/ryono/index.htm


山下洋輔が「ものすごい音楽だっ!!!」ってどんなのよねえ。
ryochestra (小野良子オーケストラアコースティック) もメンバーはettの二人とか即興の強そうなメンバーなので面白そう。
あと、「the ひゃくたたき」って(笑)

「音楽に限らず、芸術とは鑑賞するよりは体験するものではないだろうか」ていうしねえ。これは鑑賞じゃないね。どれも一度も音源を聴いたことないけど体験しとこうかな。名古屋行ったばかりだけど。

2007年12月11日火曜日

ソウルフラワーユニオン@アポロシアター

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651089924_27.jpg ソウルフラワーユニオンを見にアポロシアターへ。ライブを見るのは2005年のフジロック以来か。モノノケ・サミットは去年見てるけど。

 アポロシアターは狭いハコなので、凄い人の入り。
 やっぱり狭いところはいいね。と言ってたし。
 といっても僕の前売りが160番になっていて結構当日で入っていた人も多かったので結構入ってたのかな。

 不思議なのは、モノノケサミットのような昔の歌謡をうたっても、チンドンがドラムになっても、三線がギターになってもソウルフラワーの音楽になるというのはどういう仕組みなんだろう。理由は中川さんのボーカルだけじゃないはず。そこがとても面白い。

 年末の忘年会だからということでベストの曲を多くやってくれて、とても楽しい。前にいた8歳の男の子も楽しそうに歌ってたし。「僕知ってる曲と知らない曲の差はげしいな。俺らもそうやけど。知らん曲でも楽しそうにしてくれるとおっちゃんら喜ぶで」といわれてた。

曲は順番ぐちゃぐちゃですけどこんな感じでやってくれてた。
(やってないのもあるかもしれない)

極東戦線異状なし!
荒地にて
ピープル・ゲット・レディ
殺人狂ルーレット
世紀のセレナーデ
永遠の語らい
サヴァイヴァーズ・バンケット
うたは自由をめざす!
イーチ・リトル・シング     ?
エエジャナイカ 
ブルー・マンデー・パレード   ?
ホライズン・マーチ
騒乱節
緑の沖縄
辺野古節
松葉杖の男
他知らないのが数曲

 風邪でのどの調子が悪いそうで高音が出しにくそうでしたけど

 終電があったので途中で帰ったけど、その後「神頼みより安上がり」、「満月の夕」に「海行かば山行かば」もやったのでほぼベストの選曲。
 8時スタートって遅いよ。殺人狂ルーレットが終わって帰ったけど、終わる雰囲気がまったくなかったし。逆にあの時間でアンコールになっててあの盛り上がりでいてたら帰りそびれて終電乗り過ごしていたけどね。
 
 前の方にいたので踊る阿呆に見る阿呆という感じで。両手挙げてええじゃないかとかどっこいしょとかイヤササ!にヨイサーヨイサーに、色んな掛け声が混ざって、踊りもええじゃないかにカチャーシーにモッシュに何でもいいから楽しけりゃええやんという感じがほんま楽しかった。

 去年のモノノケサミットでのあまり踊れなかったことへの欲求不満も解消ですわ。
 そういやよく考えたら、ライブハウスって感じのライブ久しぶりやったわ。


2007年12月9日日曜日

NARUYOSHI KIKUCHI DUB SEXTETを考える

 


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  コミュより



<菊地成孔 - 新プロジェクトは、マイルスサウンドのポリリズムを際立たせ、クールにダブをコラージュ、『管理された偶然』の中に、ジャズを再生する。>

<60年代のマイルス・デイヴィス・クインテットの4部作(E.S.P/Miles Smiles/Sorcerer/Nefertiti)をマトリックスに、オーネット・コールマン、エリック・ドルフィーのジャズを引用。菊地成孔が、アブストラクト且つファンキーに研ぎ澄まされた“21世紀の二管ハードバップサウンド”とも呼べる全く新しいジャズミュージックを創りあげた>

[メンバー]
菊地成孔(ts)
類家心平(tp)
坪口昌恭(p)
鈴木正人(b)
本田珠也(ds)
Pardon木村(Dub Engineer)



菊地HPより




最新発明がダブ・セクステットという事に成ります。「今までで一番オーセンティックでスタンダードなバンドだ。今度ばかりは永久にその考えは変わらないだろう」と思うのですが



オーセンティックというのは菊地さんとしてのオーセンティックなジャズというのは60年代のマイルスということなんだろうか。



ダブセクステットのアルバムをお聴きに成れば、<発展型>と言いながら、全然別モノであることがお解り頂けるでしょう)


クインテットライブダブが50年代マイルスならダブセクステットが60年代という意味での別ものだということだろう。ドラムが藤井さんから本田珠也さんという人に変わったというのも大きい変化のようだし。かなりロック寄りなドラムを叩くみたいで良いようなので期待が持てそう。
でも21世紀の二管ハードバップサウンドというのも気になるわけでいわゆる王道ということですよね。




と言う訳で、次に出る作品がニューアルバムでありデビューアルバムである新バンドですが、正式名称は「菊地成孔ダブ・セクステット(六重奏団)」という物で、これは言うまでもなく「クンテット(五重奏団)・ライブ・ダブ」の発展型です。04年より足掛け4年間活動したクインテット・ライブ・ダブを解散させ(ラストライブを来年の1月に行います。詳細は後ほど)、新たに結成しました。

 メンバーはワタシ以下、クインテットからの残留組が坪口(ピアノ&エレクトロニクス)、パードン木村(ダブエンジニアリング、ターンテーブル、エレクトロニクス)の3人、ベースがペペの鈴木正人、全くの新顔がドラムスが本多珠也、トランペットが類家心平、という、ワタシが初めてやるハードパップの基本編成(+ダブエンジニア)によるバンドです。

 音楽の内容はアルバムを聴いて頂くとして、このバンドで、ワタシ初めて「バンド最年長」になりまして(菊地&木村44歳、坪口42歳、本多37歳、鈴木36歳、類家31歳)、しかもヴォーカルもアルトサックスも無しのテナーのみ、アルバムにはスタンダード曲もバラードも入っていないオールオリジナル、作曲陣はワタシと鈴木、坪口の3人、と書けば、マイルスマニアの方ならば大体お察しがつくと思われます。アルバムのセッション日数は3日間でしたが、これは「マイルス・スマイルス」「ESP」「ネフェルティティ」「ソーサラー」、所謂「セカンドクインテット・スタジオ4部作」が総て3日間で録音された事(「ナッシングライクユー」は例外として)に倣っています。

 ワタシが手がけて来たバンドの中で、糖度(スイートさ)を最も低く(ゼロに近い)設定したハードな物件ですので、淑女の皆様のお口に合うかどうか心配ですが、08年はメンバーを刷新した第二期ペペ・トルメント・アスカラール(現在アルバム準備中)とダブ・セクステット、そしてヴォーカル物ユニットの三本立てで活動しようと思います。お楽しみに。ごきげんよう。

糖度ゼロいいなあ。いいなあ。エリック・ドルフィーのジャズを引用というのもいい。



ダブ・セクステットはツアー・デビューが決まりまして、即ち東京でデビューライブをするのではなく、先ずはツアーに出て、終えてから東京でやります。スタート地点は博多もしくは岡山で、どちらがダブセクステットの最初の地に成るかは現在検討中ですが、以後北上する形で名古屋、神戸、仙台と5カ所サーキットし、東京で実質上のデビューライブを行います。

愛知芸術文化センターから来たチラシに2/19の19:00~菊地成孔のアーティストトークの案内があったからこの前後が怪しい気がするけど・・・



アルバムは全8曲。タイトルは
「THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED / NARUYOSHI KIKUCHI DUB SEXTET」」
 というもので、無理矢理訳すならば「革命はコンピューター管理されない」といった所でしょうか。さる有名なアーティストの有名な曲名のモジリである事は言うまでもありません。

「管理された偶然」とこのタイトルなら期待してしまう。



仕事抜きだったらとろけてしまいそうなセッティングですが、類家君の素晴らしいトランペットをプラグインで電子音に変換したり、(本多)珠也のドラムソロにフィルターをかけてフィードバック発振させたりする作業に熱中していると、時間があっという間に過ぎて行きます。

ほんまとろけそう。良い音楽をプラグインで電子音に変換出来たらとろけるよね。
類家君と珠也さんの二人は知らなかったんだけど、youtubeや他の人の評価を見てると期待できそう。