2001年1月19日金曜日

「音楽の実験」と赤瀬川と60年代回顧展(名古屋) 2001/01/19

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今日は60年代の日と決め込み行ってきましたよ。名古屋に。

■黒川紀章回顧展

 これは名古屋市美術館でやってて。赤瀬川さん目当だったのをついでに見たわけです。

 黒川さんの建築は何かアメーバ−ぽいんですよね。
 面白いけど、住めないね。それと、最近のは恐竜の博物館のデザインが卵なんて安直すぎるんじゃないんですか。それと建築って、模型で見てもね。行ってみないと。その点、上野の法隆寺宝物館はすごかったなとつくづく思うわけです。ここの名古屋市美術館も黒川さんのらしいけど、展示内容を次々変える美術館は建築家の意図と合わなくなるのかなあと思ったり。つくづく、谷口吉生の法隆寺宝物館はすごいなあと思ったりしましたね。

■赤瀬川原平の青春時代展

 とんちの神様の作品展を見に行きましたよ。そういや、黒川さんのを見てたとき、女の子3人組がいて、ちょうど見るペースが似たようなものだったので、追いついたり追い越したりでして。明らかに黒川目当って感じで、赤瀬川展の方もぼくのちょっと後から入ってきてましたが、なにこれ、て顔してて面白かったですね。巨大千円札やら、梱包した椅子やら机やら、ガラクタのオブジェ見せられても普通の人はハァ?ですよね。当時の迫力は千円札の色のようにあせてはいたけど、あの女の子の様子を見れただけでも、ハイレッドセンター側からミキサー計画を体感できたような気がしましたね。他の展示はスルスルとすり抜けていくのに、赤瀬川だけ念入りに見ているぼくをどう思ったんでしょうね。
 千円札で梱包されたかなづちとかもあったんですが、作品名が押収品千円札梱包作品(かばん)とかなってて面白い。作品名が裁判を経て変わっているんですね。
 でも、「ヴァギナのシーツ」からは硫酸が落ちてないし、梱包作品扇風機は動いていないようだったし、60年代で止まっている感じがするのは寂しかったな。硫酸落とせばいいのに。ハイレッドセンター展にして紐の作品とか黒川の作品にグルグル巻きにしたいなとか思ったりしてました。。


■そのあとは、タワーレコードとかによって、CDを物色
  THE FOX
  千葉レーダ
  オーディポップ
  トランソニックのストレンジガーデンのベスト
  BS2000
を購入。次回に持ち越しはテント、ケージ、ビョ―ク、トランソニックの中原正也のと砂原のプロデュースのやつ。ラブサイケデリコはレンタルで済ますことに決めた。

 さて、タワーレコードで買ったFOXですが、スペースシャワーTVのトリビュート盤であったのが良くって買ったんです。今日のコンサートの音楽とは反対側にありますがユルユルでいい感じです。ユルユルいいですよね。ぼくとしては音楽的に同じ傾向ばかり聞いてると疲れてくるので、バランスをとってるところがあります。
 千葉レーダとオーディポップは去年の忘年会とライブの思い出としてという意味合いが強いですね。千葉レーダは予想通りだったんですが、オーディポップは、あれ?て思いましたね。ライブのほうが良かったなあて思えて。まあ、それなら最近のオーディポップは調子が良いと言うことなんで、まあ、OKですけどね。
 トランソニックは最近ポリスターに移ったみたいですが、移籍を契機にアーティスト別のベストを作ったみたいですね。どれも欲しかったですがとりあえず1枚。
 ところで、TMVGのCD試聴したんですが、最初がフジタブレンダーなんですね。ピチカートがあったりわりとメジャーな内容で。ありですか、これ。
��S2000は気になってたんで。ちょっと緩めでいいかんじです。


■パルコブックセンター/非ユークリッド写真連盟/フォトモ/有元伸也

 パルコブックセンターに移って、カーサやらユルユル見て歩く。非ユークリッド写真連盟の本を見つけて欲しいとは思うがお金がないので立ち読みで済ます。非ユークリッドの感覚はよく分かるんですよ。最近、写真とかにも少し興味が出てきてるんですが、感覚としてカメラ好きでも写真好きでもなくって、被写体が好きなんです。それと、壊して作る感覚は好きでして。これも、赤瀬川のトマソンの思想的な流れを汲んでて、今日はアンパンの日だなあと実感します。

 有元伸也の写真集も探すんですが見つかりませんでした。有ちゃんに対する書評はあったんですがね。それで、絵夢ちゃんの写真の事とか考えたりしてました。


 立川談志の本を立ち読み。CD買いすぎたので次回に持ち越し。


■「アメリカンドリームの世紀展」

 愛知県芸術文化センター、大ホールは何をやってたんですかね。何かハイソな感じな人が集まってました。我々の集会アンチアメリカンドリームの音楽は、地下1階小ホールです。いい場所でやってくれます。その前に10階でアメリカンドリームの企画展がやっていたのでついでに見てきます。60年代のアメリカの姿なんですが、なんかうそっぽいと言うか、ある一方の臨界点だなあて思ったりしましたよ。この世界は好きなんですが、なんていうかアメリカの宗教音楽のジャケットて怖いくらいの幸福な笑顔が写ってるじゃないですか。そんな感じがした。


■「特集公演:音楽の実験−アメリカと日本」

 で、その後小ホールに行ったら見たことあるひげのお爺さんが入り口で話をしています。刀根さんみたいでした。客層はとことんバラバラでしたね。EYEちゃんファンの危なそうなお兄さんから、怪しそうなおじさんから、若い芸大風の人に、隣の女の子はセーラー服でしたよ。入ったときから中にはツーと言う信号音があって、でも気持ちいいです。会場はグッドマンよりひとまわり大きいくらいですかね。後ろのほうは座席で前のほうは座布団です。
 最初は刀根康尚さんです。これは解説を見ると光を音に変える装置を使って演奏するみたいですね。で、光はスライドを使って拾うんだけど、スライドの映像の内容は漢字を分解した象形文字の元になった映像をイメージで流して、流す順番は漢詩や万葉集の言葉の通りに流して音楽に変換するってやつです。
 この日のコンサートの音をMDに拾ったんですけど、こういうのって、目撃することに意味があって、音だけ聞いてもあんまり意味がないんだよね。だって、MDで録音したんですけどぼくがMD触って出した騒音と楽曲の違いが分からないですからね。
 これらって、芸術と言う枠でとらえなかったら、ただのキチガイですもんね。この騒音を真剣に聞くぼくらもどうかしてて楽しいです。
 次の高橋悠治さんのは、演奏中に起きた自身の演奏ミスや、会場の音によって次の演奏が決定される作品。あのヤンさんのライブでやってたやつはその応用なんでしょうね。
 次が高橋悠治さんと小杉武久さんでしたが、これが一番曲っぽく聞こえましたね。グラフ理論をもとに、「7本の橋がある。全ての橋を一度、そして1度だけ渡って散歩できるか」と言う問題から作られているそうです。小杉さんのものすごい突き詰めたような表情と急に打楽器を叩く姿がすごかったですね。
ここで、楽器?類のセットのため15分休憩となってました。その後の舞台はこんなかんじ。
 次の和泉希洋志さんと小杉さんのCatch Wave68が一番かっこよかったです。原理から言うとラジオテルミンのやり方ですね。ラジオに高周波発信機を近づけると電波の干渉現象によってビート音が発生する。んで、高周波発信機をターンテーブルにつけて近づけたり回転させたりして刻んでみたりして音を発生させる。自転車にも高周波発信機をつけて回転させたりブレーキをかけたりして演奏する。光を音変換させる装置を使って、扇風機に光を当ててました。もう、これは聞くと言うより、目撃すると言ったほうが正しいですよね。もう、小杉さんかっこいいです。演奏中一度も笑いませんでしたね。思いつめた数学教授てかんじでした。
 刀根さんはもう演奏が終わったので、一緒に小杉さんのパフォーマンスを見てましたね。
 今回の演奏者、和泉希洋志さんとEYEちゃんは若かったけど、あとはみんなおじいちゃんでしたね。アンデパンダンの関係者だったり、グループ音楽の人ですもんね。小杉さん以外はあまり記憶になかったんですがみんなすごい人だったんですね。あとで、東京ミキサー計画を読み直して、グループ音楽とハイレッドセンターが合体してハイグループとなったのかとか。国立敗戦記念晩餐会の紐ぐるぐる巻きの演奏の小杉がこうなったのかとか、等高線の高さをもとに、倒したピアノに消しゴムを落とす音楽を演奏した刀根が昨日のひげのお爺さんかと帰ってきてから思いましたね。
 次に、EYEちゃんのパフォーマンスです。シンセサイザージャケットていう。胸部に電子音の発振回路を組み込んだジャケットを着込んで、胸部のツマミを使って音を変化させて演奏してました。この日のEYEちゃんて小杉先生のもとでパフォーマンスする生徒て感じでしたよ。

 次の曲も小杉さんと、EYEちゃんと和泉さんでのでしたが、まさに小杉先生とその生徒による演奏みたいな感じでしたね。小杉さんの発振装置は3倍くらいありましたよ。なんか、空中にバケツやらドラム缶やらパチンコ台みたいな変なオブジャや、黒いスピーカーみたいなものやら、独楽みたいなものがつるされてて、それに発信機がつけられてて、共鳴した音をマイクで拾って会場八方向にあるマイクで拾って流すってもんでしたよ。そして、表情変えない小杉さんが一度音量を出しすぎたのか、慌てたような表情をしたのは見てラッキーと思いましたね。あの小杉さんが慌てたよーてな感じで。

 とにかく演奏的にも生きた小杉さんを見れたのは収穫でしたよ。